入力スキルとSDGs


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1.入力スキル向上で 目標1"貧困をなくそう"1 2[1]

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かつて「一億総中流社会」と言われた日本
6人に1人が「相対的貧困」
貧富の格差拡大の裏に情報格差の拡大が?

日本の相対的貧困率は2012年時点でOECD平均を大幅に上回っていましたが [2]、日本では、ICTツールを活用している人の所得が高く、ICTツールを活用していない人の所得が低い傾向があります3[3]。日本の貧富の格差拡大の背景には、パソコンスキル格差があるのではないでしょうか。

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2.入力スキル向上で 目標3"健康と福祉を"4

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都内の中学生の11.3%が失明につながる
病気を発症する危険が高まる「強度近視」
(慶應大学医学部)[4]5

手元を見ながら入力していると、視線が画面とキーボードの間を頻繁に移動することになり、目の疲労を引き起こす恐れがあります6。また正しい指使いで入力しないと、特定の指に負荷が集中し、体を痛める危険もあります。

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3.入力スキル向上で 目標4"質の高い教育を"7 8
目標9"産業と技術革新の基盤をつくろう"9

日本の子どものパソコン利用は
発展途上国よりも遅れていた?(PISA)

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「研究開発従事者」の数を増やし「産業と技術革新の基盤」(SDGs目標9)を強化するうえでも、早い段階からこれを意識した「質の高い教育」(SDGs目標4)を行うことが重要ですが、そのためにはICTの活用が不可欠です。小中学校で1人1台端末整備が進み、授業でパソコンを使用する機会が増えましたが、入力スキルの重要性は増しています。

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4.入力スキル向上で 目標8"働きがい 経済成長"10

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10分早く入力を終えれば千代田区
人口の13倍の労働力が生まれる?11

入力スキルが向上し、パソコンを使える人が増えれば、FAXを多用していた職場でもICTの活用が進み、生産性が向上する可能性があります。すでにパソコンを活用している職場でも、従業員がより多くの作業をこなせるようになり、生産性が向上し、経済成長(SDGs目標8)につながるかもしれません。

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5.入力スキル向上で目標5"ジェンダー平等を"12
目標10"人や国の不平等をなくそう"13 14

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日本の男女格差は韓国、中国、ASEAN諸国より
も大きい?(世界経済フォーラム2021年)15

SDGs目標5「ジェンダー平等」を達成するには、デジタルスキルの向上が不可欠です16。特に入力スキルの向上は、職場での効率化を促し、長時間労働17[5]を減らし、家庭と仕事を両立しやすい環境を作るための一助となるはずです。
日本では、正社員の長時間労働が常態化しており、このことが女性の働きやすさを阻害しています。この状況を改善するにはICTを活用し効率化をはかる必要がありますが、そのためには入力などのパソコンスキルが不可欠です。(OECD)[6]

デジタルデバイドは高齢者だけの問題ではない?

パソコンを使えない人は、雇用の機会や収入などの面で不利な立場に置かれています(デジタルデバイド)。SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」を達成するには、パソコンスキルの向上が不可欠です。入力スキルを含むICTスキルの向上は、個人の労働市場での競争力を高めます。

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6.入力スキル向上で 目標13"気候変動対策"18
目標15"陸の豊かさも守ろう"19 20

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入力スキルアップで ペーパーレス化
減FAX!紙ごみ・CO2削減
紙の原料「木」の過剰伐採を減らす

紙の使用が減れば、廃棄書類の焼却による二酸化炭素の排出が減り、森林の保護(森林の二酸化炭素吸収能力の保持)にもつながります。またペーパーレス化は、エネルギー消費の削減を可能にし21、持続可能な未来を実現するための一助となるはずです。しかし、FAXが多用される中小企業などでペーパーレス化を実現するには、入力スキルの向上が必要な場合も多いと思います22

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1.世界中の人々が将来にわたって安心して暮らすことのできる社会を実現するにはどうすればよいか?これを定めたのがSDGs(Sustainable Development Goals)です。SDGsは17の目標と169のターゲット、232の指標から構成されており、2015年の国連サミットで、全会一致で採択されました。2030年の実現を目指して世界中が目標の達成に向けて取り組んでいます。けれども日本のSDGsの達成度は、2017年には11位、2018、2019年には15位、2020年には17位、2021年には18位、2022年には19位と下がり続けていました [23]。たしかに日本は、教育にかかわる目標「目標4質の高い教育をみんなに」「目標9産業と技術革新の基盤をつくろう」について、すでに達成済みであるとされます [23]。しかし、GIGAスクール構想でコンピュータの「数」(指標4.a.1)が増えても、これに甘んじることなく、これらの機器を活用した教育の「質」の向上を目指す必要があるのではないでしょうか。そのためには、パソコン操作スキルの向上が重要であると考えます。
2.SDGsターゲット1.2:「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる」
3.100万円未満の所得階層ではICTツールを活用している人が2割弱にとどまりますが、700万円以上の所得層では約6割がICTツールを利用しています [25]。
4.SDGグローバル指標3.8.2:「家計の支出又は所得に占める健康関連支出が大きい人口の割合」
5.慶應義塾大学医学部眼科学教室 坪田一男氏、栗原俊英氏、鳥居秀成氏、四倉絵里沙氏「小中学生の近視増加傾向への警鐘-都内小学生の約80%、都内中学生の約95%が近視-」 2019年 [26]。※1割の人が失明するというわけではありません。
6.「画面を見、書類を見、キーボードを見るなど視線の移動が激しく、これが眼の疲労が大きい原因でもある」(慶応大学 関原敏郎氏「コンピュータ使用とその健康影響」2001年、労働省 斉藤進氏「視覚エルゴノミクス」1996年)
7.SDGグローバル指標4.1.1:「(i)読解力、(ii)算数について、最低限の習熟度に達している次の子供や若者の割合(性別ごと)(a)2~3学年時、(b)小学校修了時、(c)中学校修了時」
8.SDGグローバル指標4.4.1:「ICTスキルを有する若者や成人の割合(スキルのタイプ別)」
9.SDGグローバル指標9.5.2:「100万人当たりの研究者(フルタイム相当)」
10.SDGsターゲット8.1:「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ」
11.10分×年間勤務日数250日(※1)=1人あたり年約41.7時間節約。これを全労働者に当てはめると、同41.7時間×労働力人口6,648万人(※2)×パソコンを1時間以上使用する労働者の割合63.7%(※3)=1年に約17.6億時間節約。同17.6億時間÷平均年間労働時間1,991時間(※4)=約88.6万人分の労働力(千代田区人口の13.2倍に相当)創出の可能性があります(※5)。
※1 厚生労働省によると、2018年の労働者1人あたりの平均年間休日数は115日 [66]。すなわち1年間の平均労働日数=365日-平均年間休日数115日=250日。 ※2 みずほ総合研究所の報告書によると2016年の労働力人口は6,648万人 [67] 。 ※3 総務省のデータに基づき、パソコンを1時間以上使用する労働者の割合は63.7% [4]。 ※4 経団連の2017年の調査結果「1,991時間」 [68]をそのまま使用。(ここでは、入力スキル向上によって短縮される時間を考慮していません。) ※5 千代田区大手町に武士や関東人の心のよりどころであった「平将門」の塚(聖地)があったため、その周辺に江戸城などの重要な施設が建設された可能性があると考えますが、将門塚の門前町である千代田区には、現在でも国会議事堂、霞が関、最高裁判所などの国の中枢機関が集中しており、そのため同区は23区で最も人口が少ない区となっています。
12.SDGグローバル指標5.5.2:「管理職に占める女性の割合」
13.SDGグローバル指標10.1.1:「1人当たりの家計支出又は所得の成長率(人口の下位40%のもの、総人口のもの)」
14.SDGグローバル指標10.2.1:「中位所得の半分未満で生活する人口の割合(年齢、性別、障害者別)」
15.「世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2021年3月、『The Global Gender Gap Report 2021』を公表し、各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)を発表しました」日本の「順位は156か国中120位」「先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました」(内閣府 男女共同参画局)
16.SDGsターゲット5.bは「女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する」と定めています。そしてSDGsは「ジェンダー平等を達成するには、携帯電話の普及が重要である」と考え、携帯電話の普及率をジェンダー平等の進捗を測る指標としています(SDGグローバル指標5.b.1)。日本は「携帯電話を所有する個人の割合」が8割程度に達していますので、この点においてジェンダー平等が進んでいる国と評価されています。けれどもデスクワークではスマートフォンだけでなくパソコンを使用するのが一般的です。そのため女性が責任あるポジションで働くためには、携帯電話を所有しているだけでは不十分です。パソコンの操作スキルが求められます。
17.日本人の平均労働時間は世界と比べて特に長いわけではありませんが、フルタイムで働く男性の労働時間はOECD加盟国の中で最も長いそうです(OECD 2014年)[5]。
18.SDGグローバル指標13.2.2:「年間温室効果ガス総排出量」
19.SDGグローバル指標15.1.1:「土地全体に対する森林の割合」
20.SDGグローバル指標15.2.1:「持続可能な森林経営における進捗」サブ指標1「森林面積の純変化率」
21.紙の使用が減少すれば、次のような効果も期待できます。①オフィス機器の削減: FAXやコピー機、シュレッダーなどの紙を扱うためのオフィス機器の使用が減り、オフィス全体の運営コストが削減されます。②保管スペースの削減: 紙の保管スペースが不要になるため、オフィススペースを縮小できます。③エネルギー消費の削減: オフィス面積が小さくなれば、空調や照明に必要な電力消費が大幅に減る可能性があります。
22.紙の原料は木材であるため、ペーパーレス化は森林破壊の防止に寄与し、森林の二酸化炭素吸収・蓄積能力を維持するのに役立ちます。

[1] Jeffrey D. Sachs, Christian Kroll, Guillaume Lafortune,. Sustainable Development Report. SDSN, Bertelsmann Stiftung. Cambridge University Press, 2022年10月19日.
[2] OECD. OECD 経済審査報告書. 2017年4月.
[3] 慶應義塾大学経済学部大久保敏弘研究室、公益財団法人NIRA総合研究開発機構. 第4回テレワークに関する就業者実態調査. 慶應義塾大学. 2021年6月17日.
[4] 坪田一男、栗原俊英、鳥居秀成、四倉絵里沙. 小中学生の近視増加傾向への警鐘-都内小学生の約80%、都内中学生の約95%が近視-. 慶應義塾大学医学部眼科学教室. 2019年8月19日.
[5] リコージャパン株式会社. 日本の労働時間は世界より長い?日本の残業がなくならない理由と対策とは? 働き方改革ラボ. 2021年6月29日.
[6] OECD. OECD 経済審査報告書. 2019年4月.

→ 引用・参考文献

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